14年前、この地ふじみ野の一角で４床のビル診療所としてスタートしたこのクリニックは、7年前建築家團紀彦氏デザインの真っ白な客船を思わせる建物に生まれ変わり、我々の手元からはこれまで約10,000人の新しい命が巣立っていきました。

この間には、景気の低迷、少子化の加速、そして去年の震災とさまざまな問題が日本やクリニックの土台を揺さぶり、医療制度も変容しましたが、開業以来一貫した私の信念は、お産をいたずらにプレミアムな衣をつけて解釈するのではなく、真の医療技術を、身近にきめ細かく提供していきたいということでした。
そのために、新しい建物を作る時も、あえて医師数・病床数の多い病院にはせず、19床までという有床診療所の範囲を保持することにこだわりました。
院長の私の目が一人一人の患者様全員に行き渡る、クオリティの高い医療技術と環境を維持するためには、これが最良の選択だったと今でも確信しています。

今、昼夜を問わない産科医療は、医師にも看護師にもなり手がなく、存亡の危機にあると言われています。
しかし実際に日々新しい命が誕生する現場では、先行きの心配などしている余裕はありません。
今、目の前にある医療を、今、出来る限りの態勢で真摯に行い、毎日を患者様に寄り添って過ごしていきたいと願っています。