会員の皆様には、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。
　平素より格別なるご高配を賜わりまして心より厚くお礼申し上げます。
　ここに第64期の事業概況並びに決算状況をご報告申し上げるにあたり、ひとことご挨拶申し上げます。

　さて、平成26年度のわが国経済は、4月からの消費増税の影響は思いのほか消費者マインドを冷え込ませましたが、原油安や円安株高などの追い風が吹き一時的な停滞に終わるムードに包まれました。また、10月には日本銀行による量的金融緩和の追加策もあり、楽観的だった第2四半期のＧＤＰ成長率は予想外の連続マイナスとなり空気が一変したことで消費税10％への再増税は先送りとなりました。しかし、円安を背景に急速に業績を回復させた輸出関連の大企業に対し、回復の実感がないままの地方経済や中小企業を再生させるには、少子高齢化による人口減少にブレーキをかけることと女性労働力活用などへの構造改革や規制緩和が重要であり、この方向で政策が動き始めましたので手詰まり感が一掃できるものと期待しています。また、昨年度は多くの自然災害に見舞われた1年でもありました。県内では、7月には南木曽地区で台風による土石流が発生し、9月には御嶽山の噴火があり、弊金庫職員を含む幾多の尊い命が犠牲になりました。加えて、11月には県北部地区に震度6の大地震が発生し多くの家屋が倒壊しました。しかし、幸いなことに地域の絆が犠牲者の発生を防ぎ、現在でも復興に向けた活動が行われています。
　一方、地域経済は、前年度末までの消費税対策の駆け込み需要の影響から倒産件数は減少していますが、冷夏で観光業は落ち込み、急激な円安は製造業の仕入れコストを圧迫して収益の上がらない構造をもたらしています。反面、経済効果が期待できる中央リニア新幹線関連や東京オリンピックなどのビッグイベントも控えています。そうした中、弊金庫では信州大学農学部との産学官金連携協定を締結し、地域の農産物の付加価値を高めることで所得向上や雇用の創出に資する試みに参加しました。
　このように地域経済への貢献を目指した業務に心がけてまいりましたが、業績は概ね順調で、健全性を向上するための貸倒引当金を5億81百万円積み増したものの、当期純利益は4億78百万円となりました。その結果、経営指標である自己資本比率は10.01%から10.46%に改善いたしました。

　業容面では、預積金は56億円増加の3,034億円になりましたが、貸出金は8億円減少の1,322億円にとどまりました。創業支援や企業再生など地域活性化が実感できるまで、資金面だけでなく経営改善に関する情報提供やアドバイスなど側面的な機能の強化にも全力で取り組むことと貸出金残高を増加に転じさせることで、資金利益を強化しながら、体力を強固にして地域経済を強くサポートしてまいります。役職員一丸となって全力を尽す所存でございますので、一層のご愛顧とお引き立てを賜わりますようお願い申し上げます。

理事長 大澤 一郎

悠々とそびえ立つ中央アルプスと南アルプス、この二つの連峰を仰ぎ、県下有数の肥沃な大地と、その中央を豊かに流れる天竜川、この雄大な自然に恵まれた誇りある郷土をそのまま象徴するように、「アルプス中央信用金庫」と命名しました。また、地域の繁栄と新金庫の発展を目指す向上心を「アルプス」に託し、地域経済の中核を担うべく、全役職員の一致団結した求心力を「中央」の文字に表しました。

また、愛称の「あるしん」は、信用ある金融機関とし、今までに築かれた信頼を基盤に、更なる安心と地域コミュニケーションをお届けしたいと願い、制定いたしました。必ずや地域の皆さまに好感をもって受け入れていただけるものと確信しています。皆さまに「あるしん・あるしん」とご愛顧いただけることを願っています。