私は医院開業に際し、決して欧米至上主義者ではありませんが、バランスのとれた欧米水準に匹敵する医院を目指そうと考えました。あくまでも私見ですが、我が国の歯科医療水準は欧米と比較すると治療、特に技術面は十分なレベルであると思いますが、医療安全対策に関してはやや劣るのではないかと常に感じていました。技術面ばかり突出し、医院の根幹ともいえる医療安全に関する認識が不十分では、安心安全な歯科医療が提供できないのではないかという思いに至りました。医院設計や診療器械導入などを考える際は医療安全対策と治療面がバランスよくなるようプランを考えていきました。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　2010年5月10日に無事開業となりました。思い描いていた医院作りが現時点ではできたと自負しています。しかし、決して満足はしていません。理念や診療方針は不変ですが、医院としても個人としても常に成長し続けなければいけません。いま正論とされていることが数年後に邪論となることはなんら不思議ではないからです。探求心は常に持ち続けたいと思います。　　　

　口腔外科専門医という立場から専門分野には力をいれてまいりますが、虫歯や歯周病、入れ歯などの一般歯科診療を疎かにしてはいけないと思っています。一般歯科治療をしっかり行える口腔外科医であり続けたいと思っています。大学勤務医時代は医学部であったことから他科通院中や入院中の患者さんの入れ歯治療や虫歯、歯周病などの一般歯科治療も口腔外科的治療と並行して行っていました。大事なのはどこに身を置いていた（所属）かではなく、どこに目標を置いていたかだと思います。どんなにすばらしい環境にいても志が低ければものにはならないのではないでしょうか。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　歯科に限ったことではありませんが、患者さんの一番恐れていることは、痛みからくる不安ではないでしょうか、まず、治療の第一優先は痛みからの開放であると常に念頭に置き治療にあたっています。私は治療に無理な理想ばかりを患者さんに押しつけるようなことは決して致しません。あくまでも患者さんの意志を尊重し、各治療法のオプションについての説明に努めていきたいと考えてます。