～ごあいさつ～

　1994年大阪大学医学部を卒業後、大阪大学附属病院および国立大阪南病院（現・国立大阪南医療センター）で臨床研修ののち、精神科病院で13年、精神科診療所等で4年、主に精神科臨床に携わってきました。また最近では、2007年より4年間、堺市中区・阪南病院にて夜間・休日当直業務を通じ、大阪府精神科救急医療システムにも微力ながら協力させていただきました。

　昨今の精神科薬物療法には目をみはるものがあり、現在では長期の入院療養を余儀なくされた重症の方は大変少なくなりました。とはいえ回復しきれず、社会生活においてさまざまな困難を抱えながらの生活をされている方も少なくありません。そのため、心理教育を中心とした心理社会的治療をはじめとする非薬物療法なども重要視されるようになりました。しかし、その治療やリハビリに利用できるはずの社会資源が十分に活かしきれていないのではないかと疑問に感じることがあります。
　また、障害者自立支援法（現・障害者総合支援法）介護保険法等の施行以降、障がいのある方やご高齢の方のためのさまざまな支援サービスが着々と整ってきているのですが、そのようなサービスを受けることなく途方にくれておられる当事者の方も拝見してきました。
　これは歴史的経緯から医療施策と福祉施策が個別に行われてきたため、今なお医療・福祉・行政が十分な連携がとれず、整備されつつある医療・福祉のための社会資源が有効に活用されていない結果であるという結論に私たちは至りました。

　「隗(かい)より始めよ」とことわざにあります。
　医療と福祉、さらにそれらを支える行政との架け橋になると決意した私たちは、大阪府泉佐野市の南海・羽倉崎駅改札目の前という交通至便の地にて、2013年6月、精神医療を通じた医療・福祉サービスの総合ステーション「ともクリニック」を開院いたしました。

院長 湯尾 弘司